最新情報
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2024〜
チラシをクリックすると久留米市の資料がダウンロードできます(2.4MB)
久留米市出前講座「農業都市久留米」
講師派遣:久留米市農政部農政課
松延、松岡 さん
2024年3月17日、くるめ革新懇話会は農業問題を理解するため、まず地元の農業の現状と施策を知るために久留米市の出前講座を依頼し、2名の講師を迎えて行われました。
両講師から久留米市の農業の現状(経営形態、主要生産物、土地利用、耕地面積、高齢化に伴う農家数と担い手の数と年齢、低い新規就農者数、経営規模、新規就農者数、遊休農地=耕作放棄地、国レベルの自給率)の説明があり、2020年から2025年度の食料・農業・農村基本計画『マスタープラン』の説明が行われました。2023年度久留米市の農業予算は、一般会計予算額1,449億円のうち、41.1億円(2.8%)です。
なお久留米市のプレゼン資料は、下のチラシをクリックすればダウンロードできます。
参加者から、カロリーベースで38%・生産額ベースで58%の日本の自給率は、ほぼ100%輸入に頼っている肥料と飼料や種抜きの数値であり、実際の個々の農産物の自給率は随分低いのが現状である、と鈴木宣弘東京大学教授の試算例を挙げました。例えば、自給率が高いとされる米100%(実はミニマムアクセス米を入れると97%)はたったの11%、卵の97%が12%と軒並み10%台です。(鈴木教授の講演内容はトップページ下からダウンロード可)
また、ここ数年の食品値上げで、総務省「家計調査」によると昨年2023年のエンゲル係数(家庭の消費支出に占める食品支出の割合)が27.8%と統計のある1985年から約40年間で最高値になっており、困窮家庭では果物・肉/魚・菓子・野菜に手がでないことが述べられ、豊作時に市独自に買い取って困窮者と農業者を支援することはできないか、との提案がありました。
農地を農産物だけの生産の場と限定せず、3割程度を太陽光発電パネルで覆うソーラーシェアリングに関して、温暖化による猛暑日の増加で米などの収穫量・品質低下を防ぎ、農家に安定的な収入をもたらす市民出資・参加型の計画はないか、との質問があったが対応する市の部署はなく、施策にも全くないのです。(トップページに実例紹介)
その他参加者から、花卉生産に関する質問、外国人技能実習生への給与、農家数・農地の減少(激減)傾向、洪水対策、市民農業など多彩な質問・意見が述べられ、時間を超過するほど盛況でした。
日本経済はなぜ長期にわたり低迷してるのか
講師:関野秀明 下関大学経済学部教授
2024年6月23日、歴史的円安・物価高騰・実質賃金低下・社会保険料増加で大多数の国民が苦しい生活を迫られている中で、くるめ革新懇話会は『失われた30年』とも評されるバブル崩壊後の長期にわたる日本経済の低迷が、日本社会のあらゆる分野・国際指標で停滞・凋落を引き起こしています。この間、格差は広がり中間層はやせ細り、生活困窮層が増大しました。
そこで、一部の富裕層を除く、大多数の国民が将来を見通せなく不安に生活している原因の解明と脱却の出口戦略を解明してくれる『最適な』講師を招いて、過去30年の経済問題に特化した講演会を催しました。当日、直前に強い雨が降った梅雨の最中にも関わらず、30名の熱心な市民が講演に耳を傾けました。
関野教授は、豊富なデータを満載した資料をもとに、明快・簡潔な語り口で論理だって、悩める過去30年間の日本経済の低迷の実態と原因を解明し、それから抜け出すために、具体的な数値をはじき出した財源の裏付けのある解決法を列挙してくれました。
関野教授は、低迷をもたらした数々の原因の中でも最も悪質なのは、この間の株式市場投資部門別保有比率の推移で明らかなように、外国法人(主にアメリカ系)とその半分が外国人が保有する信託銀行の比率が半分以上を占めるようになり、大企業主導の賃金抑制・非正規化・下請けいじめによるコストカットや自社株買いなどでの株価つり上げと、株主配当を増大させた株価至上主義・株主資本主義が跋扈し、自分たちだけの利益を最大限化したことを挙げました。この間、内部留保も確実に積み上げてきました。彼らの要求を政治面から大応援するため、労働法制の緩和、量的金融緩和とゼロ金利政策のアベノミクスに代表される、この間の自公政権の経済運営の愚策も列挙しました。加えて、予想外のコロナパンデミックも庶民のサイフを直撃しました。
希望の出口戦略である市民の経済政策として、GDPの53%を占める内需主導型にするには15%の賃上げと、中小企業支援策を施したうえでの最低賃金全国一律1500円、逆進性の高い消費税5%減税とインボイス中止、社会福祉の充実と欧米並みの農民が食って行ける農業支援策です。
財源は、大企業・富裕層優遇税制の是正です。具体的には、大型公共事業費・海外派兵用軍事費など削減で3.1兆円、証券優遇税制と総合課税で1.7兆円、法人減税中止と税率を2013年水準に戻して4..1兆円、1%富裕課税で4.7兆円、為替取引税0.03%創設と炭素税引き上げで5.5兆円、高所得者への社会保険料引き上げで2.2兆円、内部留保に時限的2%課税で2兆円、など合計30.7兆円の税収が可能です。
これらの財源を使えば、消費税率5%、国保料「平等割」「均等割」廃止で4割引き下げ、年金月5000円アップ、診療報酬2000年水準回復、保健所予算倍化と感染症研究予算10倍化、保育と介護職員の月収2.5万円アップ、障がい者と18歳以下の医療費無償化、生活保護削減回復、大学と専門学校授業料半減、最賃引き上げのための中小企業助成など総額30.4兆円が実現できるのです。
95分の講演後40分以上に渡って、フロアーから活発な意見と質問が出され、講演内容を更に深めました。少子化では、小泉内閣時代1.6だったのが現在1.2、ただし婚姻世帯では1.9もあるのに、低賃金で将来が見通せないため、結婚や子どもを持つことを躊躇する傾向が増大し、出生率を押し下げています。
また、農林水産業への直接所得支援などで食糧と再生エネルギーの生産で、インフラを整備し、地方経済を循環型にし、そのため地域に根ざした金融機関を育てることで、地域住民が自己決定できるようにします。地方の公共交通機関の削減では、国鉄の分割民営化が決定的に間違ってきた、と指摘します。人事権を奪い、大学の独立法人化と毎年1%削減で研究力と自治権を低下させて来ました。
日本は、これまで失敗・失策の問題解決、つまり反省することなく、失敗を繰り返す誤りを続けており、これを是正するには、経済と民主主義を両立させ、立て直すことが求められていると述べました。根本的な変革とは、具体的には、市民と野党共闘で富裕層を益々富ませる自公政権に替わる政権を作らないと未来はないのでしょう。大半の参加者から高評価を得た講演会でした。
(U生)
貧困、格差を拡大した一方でのべつ幕なしの都市再開発、国益を損なう輸出・輸入依存の「成長戦略」……日本経済を歪め国民生活を苦しくさせた根本にある自公政権の経済運営を理論的に批判。それをマルクス『資本論』に立ち返りながらあとづける本書は、私たちの日々の生活にひきつけて『資本論』を学ぶ上でも示唆深い労作。
2024.6.23 くるめ革新懇 経済問題講演会講師の労作紹介
2024.7.13 如何にして最低賃金1500円を実現するか
<市民連合ふくおか での講演 YouTube>(クリックして視聴)
くるめ革新懇 2025年 講演会
2025年2月11日開催
2月11日久留米シティープラザの小会議室にて、くるめ革新懇は日本共産党の政党機関誌「しんぶん赤旗」社会部副部長で、地元久留米出身の矢野昌弘さんをお招きして「しんぶん赤旗がスクープを連発できるわけ」と題する講演会を主催しました。
しんぶん赤旗は、政党機関紙でありながら、政治・経済・文化・スポーツ・海外・生活欄を幅広くカバーしており、中でも政治面は政権・大企業・アメリカに忖度することなく鋭い記事を掲載し続けています。しかし、日本独自の制度で未だに「官尊民卑」に染まった記者クラブに入れず、赤旗記者による独自取材は容易ではありません。
当日講演会場は定数39名のところ、倍近い68名もの参加者があり、急遽備え付けの机を撤去し、予備の椅子を搬入するなど予定開始時刻を10分過ぎて始まり、約80分間の講演に続き、45分間の密度の高い質疑応答が行われました。
同氏の粘り強い取材で明らかになった、「裏金問題で非公認になった自民党支部にも2,000万円の選挙資金が政党助成金で支払われる」という大スクープは、2024年10月27日投票の総選挙期間終盤の23日付けで掲載され、他紙が後追い記事を掲載・報道しました。その結果、自民党議席の56議席減の敗北で、自公連立過半数割れに持ち込んだとされます。
しんぶん赤旗のスクープは、近年では安倍内閣の「桜を見る会」、菅内閣の学術会議会員候補者6名の任命拒否、岸田内閣の政治資金パーティーの収入不記載・裏金化など政権を揺るがせてきており、今回のとどめのスクープは少数与党による様変わりの国会運営に追い込みました。
今回大スクープに至ったのは、内部通報ではなく、地道な取材からでした。10月9日付けの自民幹事長から公認料500万円を明記した2,000万円の公認候補者支部への交付金支給通知書を手に入れて、今回裏金問題で非公認になった支部長を務める8人の候補者の支部にも同額の2,000万円の政党交付金支給があったことを丹念な取材で突き止めました。他の商業紙でも取材できたはずです。
加えて、選挙後の11月10日付け赤旗日曜版は、候補者がいない自民党支部には2,000万円どころが1銭も政党補助金を振り込んでいなかったことをスクープしました。2,000万円は、政党広報金ではなく、選挙資金であったことが暴露されました。
次に、しんぶん赤旗は領収書の提出義務のない内閣官房機密費の年間約12億円が総選挙期間中に1日平均383万円も通例より高いペースで支出していたことを明らかにしました。「政策推進費」と称する野党対策に使われている疑惑が付きまとっています。
また、12月15日付けでは、共産党の支持者を自民党員として無断登録しており、一般党費年額4,000円・家族党費年額2,000円を裏金で立て替えている疑惑を報道しております。如何に自民党が、裏金がなければ生きて行けない党かを物語っています。
赤旗なら安心して任せられる、と内部通報も増え「天下」のトヨタ自動車では、できるなら労災を使わせないように「とりあえず健保で受診を」と指示するマニュアルが存在することを明らかにしています。
10分間の休憩後、多数の質疑・意見が寄せられ、矢野さんは軽快に応じました。ネットやスマホの普及の中で新聞の後退・デジタル化が進む一方で、「紙も残ると思う」と話され日曜版もこの夏には電子版との併用になることがアナウンスされました。赤旗記者不足は70年代に入った記者の大量退職の補充で、記者を育てるには時間がかかること、商業紙は記者の入社数が激減してるなど裏方事情も話されました。
フロアーからの意見として、福岡県でも政治パーティーは横行しており、立憲民主党のパーティーに自治労組が多額支払っている、地元選出の自民議員の疑惑が述べられました。
要望として、電子版の収入を地区委員会に還元して欲しい、またスクープの掲載された紙面や年に数度でも電子版に無料でアクセスできるようにして欲しい、久留米の自衛隊を取材して欲しいなど出され、好評のうちに講演会を終了しました。
(U生)